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Composite region
資源としての黒色頁岩
私たちが知っている海では,魚がえら呼吸をして体に酸素を取り入れています.魚がえら呼吸できるのは,現在の海が海水中に酸素が溶け込んだ「酸化的な海」だからです.これとは逆に,過去には海から酸素が枯渇した「還元的な海」が出現した時代があります.2億5000万年前のP/T境界と言われる時代や,白亜紀の海洋無酸素事変(OAEs)などです.
還元的な海では,有機物が分解されずに沈澱し,黒色頁岩と言われる岩石が形成されます.この黒色頁岩の中には,還元的な環境で安定に存在する酸化還元鋭敏元素(V,Mo,Reなど)が濃集していることが知られています.そして,これらの元素はレアメタルとも呼ばれ,航空機のタービンに使われる耐熱性超合金や,ステンレス鋼などの特殊鋼添加剤,さらに石油精製触媒などに利用される,産業上重要な元素なのです.
私たちはこの黒色頁岩や黒色泥(有機物に富み黒色をしている泥)を新しいタイプの資源としての活用出来るのではないかと考え,それらの成因を含めて,各時代の特徴・分布を明らかにするために研究を行っています.