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Composite region

音波を使った資源探査

地球は青い

それは、表面の7割を覆う海水が、太陽からの光(可視光)のうち青を反射するからです。青以外の光は海水に吸収され、やがて消えてしまいます。海の中が明るいのは、せいぜい水深100 m。快晴の日でも、200 mも潜れば周りはほぼ真っ暗です。陸上の鉱山を探すには、日中の太陽の明るさが非常に役に立ちますが、水深5,000 m以上にもなる深海底では、可視光を頼りに調べることは簡単ではありません。


音波

水の中でも良く伝わるこれこそが、漆黒の海底を「見る」ための重要なツールです。


海面に浮かぶ船から音波を出して、音が跳ね返ってくる時間から海底までの距離を測ることができます。音速は海水の塩分や水温によって変わりますが、塩分や水温は調べれば分かるので、そこから音速を予想し、観測した時間から距離を計算します。多くの地点で水深を測って地図にしたものが、海底地形図です。

また、跳ね返ってきた音の強さ(音の大きさ)も重要です。海底が厚い泥の層に覆われていると、音波が泥に吸収されるため、小さな音しか返ってきません。それに対して、岩石が分布する「固い海底」からは、大きな音が返ってきます。このような海底の音響反射強度も地図にすることができます。

さらに、泥の層の中に浸透するような周波数の低い音波を使えば、地層の断面図を作ることもできます。


平坦で反射強度の弱い海底には、地下の浅いところにレアアース泥が分布する場所があることが知られています。地形的に平坦でも反射強度の強い場所には、マンガンノジュールがたくさん転がっています。反射強度の強い地形的な高まり(海底火山や海山)には、海底熱水鉱床やマンガンクラストが分布している可能性があります。

このように、音波を使った調査によって海底地形図・反射強度分布図・音響断面図を作れば、海底資源がある場所を特定することができるのです。


なるべく素早く、簡単に、多くの鉱物資源が見つかるような、新しい資源探査手法の開発が求められています。



もっと知る

音波が映し出す南鳥島周辺のマンガンノジュールの分布

―世界初、海底資源の広域分布を可視化し面積を算出する方法を確立―