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Diary2023.11.01

マンガンクラストの切断と研磨

先日、高知コアセンターでCTスキャンをかけた試料を、岩石カッターで切断し、グラインダーを使って切断面の研磨を行いました。


この試料はマンガンクラストと呼ばれ、海水中の鉄やマンガンが岩石の表面に沈澱(沈着)してできたものです。

鉄やマンガンのほか、様々な元素が濃縮しながら成長し厚みが増していきます。

その成長の様子を詳しく調べるために化学分析をしますが、その前処理として切断と研磨は欠かせない作業です。


あらかじめCTの画像をよく観察し、試料の特徴が最もよく表れている断面を探して、切断する方向を決定します。

この試料は、CT画像で黒っぽく写っている岩石の周りに、白っぽく写った鉄とマンガンからなる層が沈澱しています

左下の紫の枠で囲まれたCT像の断面がよさそうです!

その面を出すために、右側のCT像と実物とを照らし合わせて、紫の線の方向に切ることにしました


岩石カッターで切断中・・・



回転している刃に冷却水をかけながら、試料を刃に軽く押し当てて切っていきます。

切る方向が曲がってしまわないように両手でしっかり押さえなくてはいけません。

また、切り屑と水が合わさったマンガン泥水が、回転する刃の勢いで周りにたくさん飛び散るので、雨ガッパを着て(実は、カッパの背中側を前にして逆向きに着ている)、さらに白衣を重ね着して完全防備で臨みます。


狙いどおりに切れました!

が、切断面にはカッターの刃が擦れてできた曲線の傷が沢山あります


擦り傷が無くなるまでグラインダーを使って研磨します

左手側には研磨待ちのサンプルがずらっと並んでいます



研磨には、150ミクロンのダイアモンドが敷き詰められている円盤を使います。

回転した円盤に水をかけながら切断面を軽く押し当てて磨いていきます。カッターの擦り傷で出っ張ったところが削れていき、やがて凹凸のない断面になります。

凹凸の無い、ピカピカな断面になりました


次に70ミクロンの円盤に換えて仕上げ磨きを行い、ピカピカな断面になれば作業は終了です。

この後、実験室内で1週間以上、十分に試料を乾燥させてから分析を行います。

この記事を書いた人
Shiki Machida (Senior Research Scientist)
Shiki Machida

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